自分で作るかどうかは別として、日記ソフトの「こーだったらいいんだけどね」という姿を模索してみた。模索するといっても、議論のベースになる情報がなくては意味がない。既存のMac OS X用ソフトをいろいろと調べてみた。
■Clover Diary
HTML書き出し、セキュリティロック機構などを備える。その日の天気や気分をポップアップメニューから選択できるようになっている。天気については自動で取得してもよかっただろう。日記の記述ウィンドウとカレンダーがドロワーで一体化されているのは○。過去の日記の検索機能もあり、資源の有効活用を意識している。
あっと驚く新機軸:このソフトを使用して書かれ、HTML書き出しされた日記をランダムに表示させる機能。
■Memo Diary
コメントするほどの内容なし。
■Calendar Memo
Classic Mac OS版のMatrix Calculatorからウォッチしている西村氏のソフト。これは決して日記ソフトではないのだが、あえて日記ソフトとご本人が言い切っているのが凄い。機能はひとことで言い表せないほどだが、日記ソフトにしては重装備なのと、機能が多すぎて気軽な日記ソフトとして運用するのに抵抗をおぼえる。
あっと驚く新機軸:このソフト自体が驚きのかたまりのようなもの。ただ、驚かされっぱなしだとソフトを使うのに熱中して文章が書けない。
■Frimiaire for X 1.6.4
「よく作り込んであるなぁ」というのが素直な感想。「今日はどんな日?(記念日表示)」やガイダンス表示を行う「秘書」の表示パレットに感心。日記に属性を付けられるうえに、暗号化機能もある。タスクスケジューラと日記と業務日報の中間的な存在。ただ、「ボード」(カレンダー)と「カード」(日記)などの用語の概念が独特。パレット表示に一部問題が見られる以外に、これといって明確な失点が少ない。デザイン面ではいま一歩か。
あっと驚く新機軸:秘書機能。記念日の表示
■Diary++
毎日使っているソフト。画面デザインがシンプルで「書く」ことに専念できる点がよい。テキストエディタだとファイルの管理が必要だが、日記ソフトはソフトが自前で管理してくれるのがよい。シンプルさでは天下一品だろう。ただし、お手軽記述ソフトとしてはよいが日記としての機能はあまり実装されていない。AppleScript対応しているので、勝手に機能追加も行える(mixi自動日記投稿など)。ボタンのデザインは決してほめられたものではない。
あっと驚く新機軸:日記ソフトなのにAppleScript対応
■MacJournal
Blog用ソフト。機能が豊富そうに見えるがそんなことはなく、割と中途半端なソフト。この手のソフトに半透明機能は必要ない。
あっと驚く新機軸:やたらと開くドローワー
……かくして、ひととおり見てみたが、決定的なものにはお目にかからない。画面デザインでは「Clover日記」が、機能では「Frimiaire」がよいだろうか。ただ、それでも決して手放しで褒められるものでもない。
実際に作ってみると、カレンダーと日記の連携など、そんなに簡単なものではない。ファイルメーカーProの書類として作ると簡単でよいのだろうか。
どれもこれも、日記記述支援のための機能が皆無なのが気になる。あとは、用字用語の統一機能や、同意語辞書の検索、日本語スペルチェッカなどがあると理想的。一度書いた文章を見直して、分りにくい文章は書き換えるのだが、眠い時や疲れている時には十分に行えないこともある。文章のクセを指摘してくれたりすると素晴らしい。
自分で自分の文章のクセは知っている。ぼーーっと書いていると、あまり内容の変わらない文章を続けて複数行書いてしまうことがあるというものだ。それを指摘してくれるだけでもありがたい。
自分が書いた文章をすべて蓄積し、それらを全文検索して情報抽出するなどのほか、必要な調べもの(Google検索)をバックグラウンドで勝手にやってくれているとありがたい。検索した内容については、妥当性をチェックしたりしてくれると素敵だ。
この日記ソフトというジャンルが、きわめて微妙なポジションにいることを痛感する。iCalなどのスケジューラとしての機能も求められるし、テキストエディタとしての機能も求められる。また、検索機能も充実していることが期待される。日記に属性情報などを付けて行くと、タスク管理まで意識したくなる。
ここまでいろんなソフトの間でデータ連携を考えるのであれば、次バージョンのMac OS Xで実装されると言われている、新ファイルシステムの機能を使うしかないのだろう。