5月17日にAppleStore, Ginzaでビル・アトキンソンの公演が行われることを林さんのBlogで知った。ビル・アトキンソンといえば、その筋では泣く子も黙るHyperCardの作者にして初期Macintosh開発メンバーである。
AppleStoreの公演の前に、帆風が主催した公演が催されていた。いきなりUsers Group向けということでメールが送信されてきたのと、1万数千円の参加費ということだったので、「いくらなんでも、それはないだろう」と、はなっから行くつもりはなかった。
後日聞いたところによると、ビル・アトキンソンの写真集を帆風の技術を使って出版し、その写真集の費用も参加費に入っていたらしい。写真集の値段をインクルードしないで、会場で販売するようにしたら参加しただろうにと思う。本人のサイン入りなら飛ぶように売れただろう。
そして、17日の公演は無料ということで、一度は行くことを検討した。
しかし、ビル・アトキンソン自身はソフト開発から写真家へと転身を図っており、何か新たなビジョンや方向性を感じさせるものではない。また、われわれが行っている各種プロジェクトに対してアドバイスをもらえることを期待して行っても、そんな時間はないだろうし、だいいちアドバイスを求めること自体が間違いであるような気がした。今の彼はあくまで写真家であって、現役の開発者ではないのだ。
テクノロジー自体を作ることよりも、テクノロジーを利用して自身の感性にもとづいて作品を作って発表したい……今の彼のベクトルはすべてそちらに向いているように思えた。聞けば、彼自身、昔話をするのはあまり好きではないそうだ。心情はおおよそ理解できた。
かくして、ビル・アトキンソンに会うチャンスを逃したわけだが、別に悔しいとか残念とかいう気持ちはない。彼はあくまで過去の人であり、未来はわれわれの手の中にあるものだからだ。