例によってプレゼンソフトへの不満を並べたてようかと思ったのだが、プレゼンの善し悪しがソフトで決まるわけでもなく、稚拙なプレゼンをソフトのせいにするというのはいただけない(自分のことだ)。
だいたい、プレゼンにPowerPointだのKeynoteだのとプレゼン用ソフトを「使わなくてはいけない」理由などない。これらはいわば電気紙芝居とでもいうべきものであり、特殊効果やグラフで人を幻惑し、商品を売り込むためのツールである。
今日は別件でまったく畑の違う勉強会に、相方の付き添いで顔を出してきた。OHPはおろかプロジェクタもPowerPointもない場所だったが、話の内容はきわめてよく理解できた。話の仕方さえ鍛えてあれば、幻惑用のソフトなど本来は必要ないのである。
ただ、誰もが百戦錬磨の実演販売のオジさんになれるわけでも、熟練の営業マンになれるわけでもないので、「プレゼンソフトなんかいらない!」と言い切れるものでもない。話が下手でも、手元の資料やプロジェクタを見てもらえば少しは補ってもらえるのはありがたい。
プレゼンソフト自体について話を戻す。
PowerPointからKeynoteに乗り換えて、Keynoteをずっと使い続けているが……そうそう毎日プレゼンを行うわけではない。本来のプレゼン用途以外にKeynoteは役立っている。意外なことに、KeynoteはWeb用のグラフや図版の作成用ソフトとして手放せない状態だ。
プレゼンソフトに根本的に欠けている機能で、これを搭載したらウケが取れそうなものといえば……ズバリ、「CCDカメラからの映像をプレゼン画面にハメ込む機能」だ。プレゼンの画面の中にプレゼンターのリアルタイム映像が入るというものである。
FireWire端子にiSightでもつけておけば、その映像をプレゼンの画面に出せるというのは面白い。話の内容によってはプレゼンター自身の顔の表情や身振り手振りを見てもらえたほうがよい。プレゼンターの手元の小さな機械を指し示すような場合も、カメラの映像が出せると便利そうだ。
以前に、Keynoteのプレゼン映像とプレゼンターの映像をLiveChannel Pro(複数の映像/音声ソースをその場で切り替えながら、ストリーミング放送時などの組み立てを行うソフト)で合成し、プロジェクタに出力したことがあった。Keynoteの映像はPowerBook G4内蔵のコンポジット出力から出し、メディアコンバータ経由で別のPowerBook G4にFireWire(DV)で入力した。人物映像は別途USBカムから入力した。
人物映像はともかく、プレゼンの映像が汚くて見られたものではなかったため、この実験は失敗に終わった。キレイに見えるように行うのであれば、高価な機械が必要ということになってしまう。
Office 2004 for Macのデモで、プレゼン中にプロジェクタ側にはプレゼン内容を、手元のPowerBook本体のディスプレイにはプレゼンのノートを表示するという機能を見た。Keynoteの登場で、すわ「PowerPoint撃沈か?」という話もあったが、マイクロソフトが真っ正面から勝負を受けて立っている雰囲気である。
前のPowerPointでは、Keynoteと比べると「差がありすぎてちょっと可哀想」というレベルだったが、新版では割と負けていない感じ、ところによっては凌駕する部分も幾つか見られたので、別にPowerPointに戻ることもやぶさかではない。
PowerPointでもKeynoteでもどちらでもよいので、ぜひCCDカメラからの映像合成を実現していただきたい。