モノ作りの基本は実のある会議

会議をするのは楽しい。出席者の特性を理解して、発言の中から有用な言葉を選び出し、話の方向性をコントロールすることで、テーマに向けて着実に議論を前進させる。

頭の切れる出席者を揃えても、方向づけを行わなければまったく意味のない会議になってしまう。ハイレベルの出席者を揃え、会議をうまくドライブすることで、初めて会議はおもしろいように運ぶ。

話題は、放っておけば関係ない方向に転がってしまうし、堂々めぐりをしてしまうこともある。まるで、羊飼いに追われる羊の群れのごとく、話題は原野を駆け巡る。堂々めぐりは絶対に避けなくてはならない。まるで真っ暗な迷路を、皆で手探りで歩き回っているようなものだ。堂々めぐりを繰り返していては、そこで疲弊して先へ進めなくなってしまう。

話題のベクトルというのだろうか、「どこの方向へ」「どのぐらいのスピードで」向かっているかをたえず認識し、会議の方向性を本来の方向へとガイドする。

じきに、出席者の中から思いも寄らなかったアイデアが出て、「お! そのアイディアいいね!」と、ピックアップ。客観的に評価を行い、反対意見を持っている出席者に「こんな感じでどう?」と確認を行う。

会議は長過ぎてもいけないが、短すぎてもテンポが合わず、難しいところである。仕事の打ち合わせなどは1時間ぐらいが限度だろう。逆に、アイデア出しの作業になると、食事をまじえつつ2〜3時間ほどはほしい。

基本は「参加者に楽しく会議を行ってもらう」という点に尽きるだろう。脱線をとがめるにも、嫌味のないように指摘するし、話が弾まないときには積極的に脱線してみたりもする。

自分がおおまかな方向付けをすると、参加者がさらにそれを修正。粗い部分をまとめあげて、きちんとした意味のあるものに仕上げていく。即座に役割分担が行われ、タスクの期限や内容の掘り下げが行われる。すばらしくレベルの高い出席者による会議が、目の前で見事に実を結んで行くのを見るのは、演劇やオーケストラの演奏に似た感動すら覚える。

会議に上手や下手というのはいちがいに言えないことだが、楽しく実のある会議が行えたときの満足感は何物にも代え難い。人と話をするのは好きだが、会議をするのはもっと好きである。

これまでに、いろいろと奇妙キテレツな企画を実行してみたり、見たことも聞いたこともないようなプログラムを作ったりしてきたが、友人を集めてこうした会議を行った結果である。1人では「とても不可能な目標」が、会議を行うことで「やればできること」に変わる。その過程をこれまでに山ほど見てきた。

モノ作りの基本は「会議」にあると思っている。

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