ABUI:人工知能インタフェースのUIデザインとは

GUIの上にもう1レイヤー、ラッピングレイヤーを作るという話を書いた。その名の通り、従来のGUIを包み隠してしまうものだが、完全に「隠して」しまうのでは都合がよくない。ちょっと透けて見える程度、半透明のUIを持つことが望ましい。

このラッピングレイヤーのことを、CUI、GUIの次に来るものとして「ABUI〜Artifical Brain User Interface:人工知能インタフェース」(AIと発音)と呼んでいる。

CUIからGUIに進化したとき、GUI上には的な要素が引き継がれた。メニューやファイル名の表示などは文字で表示されている。ABUIもCUI的要素やGUI的要素から構成されることになるが、問題になるのがその「デザイン」である。

主張しすぎてもいけないし、存在感が希薄すぎてもいけない。当初は文字ターミナル然としたものを想定していた。多少の装飾を施すものの、基本的に文字ターミナルの延長線上にあるものだ。これは、初期段階ではコンピュータとのインタラクション(やりとり、受け答え)を文字による「対話」だけで済ますことが可能だと思っていたからだ。

だが、さまざまなシミュレーションや検討を繰り返すうちに、文字だけの「対話」で命令実行に足りない要素を補っていくという方法論では、逆に使い勝手を悪くしてしまうという結論に到達した。プログラムも複雑になってしまうことも、シミュレーションから見えてきた。

会話を成立させるのは、かなり難しい作業である。人間対人間の会話においても、テーマに沿って話を続けていくというのは、かなり困難な作業である。プログラム側から人間に「AとBの要素がわからない」と、質問を行っても、人間側がきちんとそれに答えることを期待してはいけないだろうという気が、ものすごくする。「ある程度」まではユーザーの賢さに期待するが、「ある程度」以上の賢さは求めない、といったところだろうか。

そこで、文字端末的な……いわばCUI的世界観のみならずGUI的世界観の積極的な活用によって、より道具として使いやすいものを作れそうだ、ということが見えてきた。

もともとの始まりである「Newt On」は、その名のとおりAppleのPDA「Newton」から端を発したものである。初期において若干Newtonに似た色のコンソールなども作ってみたが、Newtonのイメージに縛られることを嫌って、Newtonとは似ていない感じのコンソールを指向したりもした。

しかし、GUIパーツを積極的に用いてUIの設計を行ってみると……不思議とNewtonのイメージに近くなっていく。本当に不思議なものである。

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