デスクトップに内容を表示するなど、前衛的なインタフェースを持つWebブラウザです。
フローティングパレットでコントロールしたり、リンクをフローティングメニューで表示するなど、「ひよこの皮をかぶった狼」のような野心的なソフトウェアです。
デスクトップにWebの内容を表示するブラウザは数あまたありますが、ほとんどのものが「なんちゃってアクティブデスクトップ」を模索するタイプのものでした。Active Desktopとは、Windowsの世界で昔にはやりそうになった、デスクトップに株価やニュースなどを常時表示させておくというものです。
結局、その手のソフトで大々的な成功を収めたものはただの1つもありませんでした。デスクトップにWebを表示させたところで、アプリケーションやFinderのウィンドウで隠れてしまって見えなくなっている場合が多く、またデスクトップは無精者のユーザーが書類を置きまくっていたりで、デスクトップ上の文字を読ませようということ自体に無理があったわけです。 「情報をプッシュする」という概念が、なんとなく押し売りっぽいイメージを伴ったこともマイナスに作用したかもしれません。
そうはいっても、画面を最大限に有効活用できるとか、擬似的なキオスク端末モードにできるとか、テレビにパソコンをつないだ場合にはユーザーにウィンドウを意識させずにいられるといったこともあり、デスクトップWebブラウザの活躍の「場」はある。いつか復活する時が来る……かもしれないと思っていました。
それは、意外なところからやってきました。コンパクトで安価なMac miniの登場です。Mac miniのようなマシンがリビングルームの大型テレビにつながれたような状況ができたときに、その状況に合ったソフトというものが必要になることでしょう。
「リビングルームで、テレビから3メートル離れた場所からコンピュータを使う」といった状況を考えたときに、この「デスクトップWebブラウザ」という概念を、もう一度墓場から呼び戻してみようと考えたのです。幸い、リビングに置いてあるようなパソコンで本気で書類を作ったりWebの素材を作ったりの作業はしないでしょうから、デスクトップはそれほど書類アイコンで「汚染」されていないことも期待できます。
この「ぴよまるデスクトップWebブラウザ」では、デスクトップをワンボタンで表示させたり、表示系と操作系を明確に分離してみたり、リンクをコンテンツと分離して一覧表示させるといったさまざまな実験を行っています。常時利用することを念頭に置いたヘビーデューティなソフトではないものの、かなり野心的な試みを随所に盛り込んであります。
まだ全然荒削りなソフトですが、さまざまな可能性を秘めているのではないか、と思っています。